ネット美人考察




   *特定の誰かを想定して書いたものでも、誹謗中傷を意図したものでもありません。ご理解ください。


 
   「ネット美人」というものが存在すると思う。


  日記に何気なく書かれている「二重まぶた」「色白」などがキーワードだ。
  「二重まぶたです」「色白です」「鎖骨までの巻き髪」といった記述があると、
  どうしてもファッションモデルの如き容姿を想像してしまう。華やかなのだ。
   しかし当然二重まぶたで色白で巻き髪の不美人も存在するわけで、
  なるほど、言葉のマジックとはこういうのを言うのか。私もやってみよう。
 
  
   ・黒髪のベリーショートだ
  ・ピアスを好んでつける
  ・指が長いと褒められる。爪の手入れも好きだ
  ・読書が好きだ
  ・個別指導の教師をしている


  売りに出来る美点がないのでやりにくい。が、何となく知性派を気取れてはいないか。
  ところが実際は


  ・黒髪のベリーショートだ    (要するに、工夫のない短髪)
  ・ピアスを好んでつける     (が、普段は化粧しない)
  ・指が長いと褒められる。爪の手入れも好きだ   (指の形と体型は無関係だ)
  ・読書が好きだ          (というか活字中毒だ。着替えながらでも本を読む)
  ・個別指導の教師をしている  (探すのが面倒だったので通っていた予備校でバイトしている)


   あっという間にものぐさ不健康なインドア娘の出来上がりである。
   本さえあれば一週間くらい平気でずっと家にいる。何が知性派だ。
   ちなみに家事もほとんどやらない。私がやると遅いので母が嫌がるのだ。
   
   
   物は言いようとか量より質とか言うが、情報は量より質よりバランスだ。





                                                                                                                               


   電子メールと見栄と笑顔




   友人たちから
   「彼氏できたの☆」  というメールや
   「彼氏と喧嘩した〜」 というメールをよくもらう。 一種の誘引体質かもしれない。


   当然だが、他人の色恋など心底どうでもいい。
   私は非常に常識的で温和な人間なので、(本当だ)
   「おめでとう☆ よかったね」      というメールや
   「どうしたの? ちゃんと話した?」   というメールをきちんと返信するし
   一応喜んだり心配したりはしているのだが、それも相手が常識人であれば、の話である。


   ありがちな真理を述べよう。さりげなさを装う奴ほど確信犯だ。
    
   
   「この前気づいたんだけど、彼氏ってお金持ちみたい……(☆。☆)」  とか
   「だって一日連絡くれないんだよ!?」     とか
   本当にお前は無意識か! 無意識な演出かそれは!? と問い詰めたくなるようなノロケも多く
   機嫌のいいとき=快適な環境で読書を楽しんでいるとき   でも携帯を逆方向に畳みたくなるが
   機嫌の悪いとき=レポート課題に追い詰められているとき  は最悪である。殺し屋も戦慄しそうな
   罵詈雑言が瞬時に脳裏を駆け巡る。 私のせいじゃない。(本当だ)
   いっそ返事をしなければ良いのだが、女の舞台裏・自慢の攻防においては「沈黙=不戦敗宣言」 
   に繋がることしばしば、私は温和だが見栄張りである、そんな春色脳みそに誤認されるのは真っ平だ。
   同様の理由で、正直に
   「あんたに一日中構ってる男なんて興味ないんだよ! 本読ませろ!!」
    と返信することもできない。理性を失ったら同じ穴のムジナである。
    孤独な戦いを強いられていたが、とうとう対処法を編み出してみた。音読。
  

   「ええーだいがくせいやのにロレックスなんー? すごいなー。たまのこしやなーワライガオ」
   「それはきゅうにびっくりするなー困っている顔。ていうかふだんはいちにちじゅうメールしてんのかいツッコミワライ」


   空調の効いた部屋で、文庫本から目を離さずにメールを打つ女。棒読みの友情。これは効く。


   一ヶ月も経つと彼女達も正気に戻って良い友人だ。一種の熱病であろうと割り切っている。
   私が反撃する機会は、たぶん来ないのだし。   





 





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